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2003年春〜夏開講 戦略とマーケティング
5月   ビジネスモデル設計
セグメントコーディネーター:慶應義塾大学ビジネススクール教授 國領二郎
デフレ経済を突破するためには、激烈な価格競争を勝ち抜くだけでなく、新しいビジネスを創造することが必須の課題となります。このコースでは、時代の流れの応じた新しいビジネスモデルの創造をいかに行うべきかを事例の検討を通じて考えます。
5月7日(水)オークネット2002
 中古車取引においていまや古典的な成功事例になりつつある同社を題材に、新しい技術の登場に伴って生まれる事業機会を、利益を生む具体的なビジネスモデルに落とし込む方法について考えます。

5月14日(水)プラネット2001
経済の成熟や技術の変化に伴って変化する流通構造を受けて、いかにビジネスシステムを進化させていくべきかを考えます。

5月21日(水)インクス2001
3次元CADの応用で製造業の情報化の流れリードする同社を題材に、ものづくりの情報化の潜在的な可能性について考えます。

5月28日(水)アイスタイル
インターネット上で活発に情報を提供する顧客を組織化することでビジネスを成立させた同社を題材に、顧客を価値の生産者としてとらえる新しいビジネスモデルのあり方を考えます。

6月   マーケティング
セグメントコーディネーター:慶應義塾大学ビジネススクール助教授 余田拓郎
マーケティングの基本枠組を理解するとともに、マーケティング・コンセプトやマーケティング管理の領域と特徴などを分析・検討し、企業の目的達成のための最適なマーケティング手段を考え、学習するコースです。
6月4日(水)アスクル株式会社:オフィス通販事業(慶応ビジネススクール余田拓郎担当)
流通革新による差別化で急成長を遂げたアスクルのビジネスモデルを題材に、マーケティング戦略の基本、既存流通と新規流通(ファックス通販・インターネット販売)の調和、オープン型マーケティングの仕組み、便宜性訴求と価格訴求の関係などについて学びます。

6月11日(水)踊る大捜査線(新潟大学経済学部澁谷覚助教授担当)
『踊る大捜査線』は、テレビドラマとして放送された1997年初頭から、映画化され公開された1998年秋までの約1年半の期間、インターネット上の公式サイトをに集まった多くのコアなファンによってその人気が支えられました。一方映画公開後は、700万人の観客を動員し、日本映画史上歴代4位(当時)の配収を記録しました。本ケースでは、この作品の開発プロセスや、インターネット上のファンの動きを詳細に検討し、インターネット上のコアなファンによる支持が、映画館への観客動員と映画のヒットに関連があったのか、無かったのか、もし関連があったとすれば、どのように両者がつながった可能性があるのか、について議論します。

6月18日(水)資生堂(武蔵大学経済学部黒岩健一郎講師担当)
苦情を言う顧客は、その苦情に企業がうまく対応すると、苦情を言う前よりもその製品へのロイヤルティが増すと言われています。資生堂では、お客さまセンターにおいて顧客からの問い合わせや苦情に対応し、ロイヤル・カスタマーを創造しています。このケースでは、そのメカニズムを理解し、現状の課題を抽出し、それへの対策を考えます。

6月25日(水)松下電送株式会社(慶応ビジネススクール余田拓郎担当)
リコーとともに世界のファクシミリ市場でトップ・シェアを争う松下電送は、市場の伸び悩みと激しい競争の中、同社が松下グループ入りして以来初の赤字に転落するとともに、同じグループ内の九州松下による家庭用ファクシミリへの参入という事態を迎えていた。本ケースでは、同社が必ずしも得意とはしないが今後成長が見込まれる新たな市場へ向けての競争対応を考えます。

7月   競争戦略論
セグメントコーディネーター:慶應義塾大学ビジネススクール教授 青井倫一
市場における競争戦略はその様相は多岐にわたります。今回は比較的身近な企業の中で、競合2社間の戦略対応を俯瞰します。その過程では市場に対する戦略とともに、競争相手とのインタラクションが非常に重要です。それらをふまえた上でこれらの会社の今後の戦略について考えます。
また、実際に競争を肌で感じる為に、1ヶ月間ネットを利用してビジネスゲーム(シミュレーションゲーム)も並行して行います。

7月2日(水)モスVSマクドナルド
日本発のオリジナル路線で成長してきたモスバーガーと、世界規模の戦略を背景に持ったマクドナルド。
両社の盛衰を見ながら、市場と戦略の相互作用、ライバル間での戦略のインタラクションについて考えます。

7月9日(水)ユニクロの岐路
「ユニクロ・ブーム」ともいわれるほどの大成功を手にした同社の成長戦略を分析します。
さらに「1人勝ち」したかに見えた同社の今後の戦略も考えてみましょう。

7月16日(水)コカ・コーラvsペプシ・コーラ
長年にわたり「慎重な戦争」を続けているといわれる両社の戦略を見比べながら、成熟期の企業戦略、海外戦略などを考えます。

7月23日(水)バルコ・プロジェクション・システムズ
バルコ社は高い技術力を武器にして、高性能を求める業務用市場に的を絞って世界的にマーケティング展開してきましたが、先月、ライバルのソニーがより高性能の新製品をかなりの低価格で導入するとの情報が飛び込んできました。このケースでは価格戦略やセグメンテーションに関する戦略について議論します。


2003年秋〜冬開講 人と組織のマネージメント
9月〜10月   リーダーシップ
セグメントコーディネーター:慶應義塾大学ビジネススクール教授 高木晴夫
                                     豊橋創造大学専任講師 加藤尚子
企業組織のあり方が、責任権限の階層的上下関係を基本にするピラミッド型の組織から、階層数を減らし人やチームをネットワーク状につなぐ組織へとシフトしています。
本コースでは後者の組織に焦点を当て、その組織の特徴とそこで求められるリーダーシップについて考えていきます。

9月24日(水) 瑞穂製鉄株式会社
高階層型組織の階層数を減らしチーム制も導入した瑞穂製鉄。
しかしながらこの変革についての情報はマスコミ報道と社内インタビューによる実態調査との間に大きな乖離がみられた。このズレはなぜ生じているのか。
瑞穂製鉄の社長はどのような行動をとるべきなのか。
部を率いる長であればどのような行動を取ろうとするのか。
ここでは瑞穂製鉄のケースをもとに巨大企業が行なう組織変革でのリーダーシップについての議論を行っていきます。

10月1日(水)富士製薬工業株式会社
ネットワーク的要素をいち早く企業に取り入れている医薬品メーカーの富士製薬工業式会社。企業を運営していくためにどのような工夫がなされているのか、社長のリーダーシップの特徴は何か、従業員にとってはどのような働き方が求められているのか。
ここでは富士製薬のケースをもとにフラットな組織におけるリーダーシップについて考えていきます。

10月8日(水)もののけ姫と宮崎駿
「もののけ姫」を制作したスタジオジブリ。そこでのクリエーターたちに対して宮崎監督はどのようなリーダーシップをとっているのだろうか。それはアニメ制作の場面だからこそ有効なのであろうか。
ここでは創造的活動をフラットな組織で行っているもののけ姫制作のケースを取り上げ、そこでみられるリーダーシップとその応用可能性を議論し、他の組織においても有効であるのかどうかを議論していきます。

10月15日(水)株式会社ベネッセコーポレーション―フラット化と組織変革―
トップ主導で組織変革を進めてきたベネッセコーポレーション。トップマネジメントは一応の満足感を覚えているものの、ミドルマネジメントへのインタビューからは一部の者しか仕事に納得できていない、満足できていない状態にあることが浮かび上がってきた。
ここではベネッセコーポレーションのケースをもとに組織変革及びそこでの従業員自身の変革について議論していきます。

11月   人事組織設計・ 人的資源管理
セグメントコーディネーター:慶応義塾大学総合政策学部教授 花田光世
人材の流動化や雇用形態の多様化など、個人のキャリア開発をめぐる環境は急激に変化しています。組織間そして組織内での流動化が進展し、 一つの組織において、組織まかせで、安定したキャリアを歩むことが困難となってきています。このような状況の中で、 個々人のマーケットバリューを高め、個人のライフキャリアとも連動した、競争力あるキャリアの自律的形成をサポートする人事制度がますます重要となってきています。本コースでは、このような新しい人事の仕組みについて解説を行い、コース受講者との討議を行う予定です。さらに、従来とは異なった組織形態やワークスタイル(SOHOやテレワークなど)についても検討する予定です。このような一連の人事の変化は、組織のシステムの変化と深く関係を有しています。資本の論理に基づく持ち株会社、グループ制、 経営資源を集中し、効率的な経営を推進していくためのアウトソーシングやバーチャルカンパニーの動きなど、新しい組織のシステムの変化にも解説を加える予定です

11月5日(水) 「人材マネジメントの課題と今後の方向性」
これからの組織の特色と課題
1. 組織の成長と発展
2. アウトソーシングの活用と人材の流動化
3. 企業アライアンスをサポートするプラットフォームの重要性
4. プロジェクトチームをベースとした組織とは

11月12日(水)「これからの組織における従業員動機付けの仕組み」
1. 外部環境の変化
2. 社員の意識の変化と新しい働き方
3. 社員の動機付けの仕組みとその運用
4. これからの管理者の役割と責任

11月19日(水)「新しい時代のリーダーシップとは」
1. ユビキタスリーダーの出現
2. ソシアルキャピタルと人間力
3. 開かれた組織におけるパワーコーディネータ
4. プロジェクトマネージャーの育成と活用

11月26日(水)「キャリア自律とこれからのキャリアデザイン」
1. キャリア自律とは
2. ライフキャリアとは
3. キャリア自律をサポートする組織の仕組みとサポートサービス
4. 自分自身のキャリアデザインを考える

12月〜1月   ミッション経営
セグメントコーディネーター:慶應義塾大学ビジネススクール教授 小野桂之介
                                      早稲田大学大学院商学研究科 根来龍之

社会倫理にもとる不祥事が、永年築いてきたブランドや企業基盤を瞬く間に崩壊させるといった事件が後を絶たない。また、間断のない短命商品の投入や度を超した価格競争を競う結果、誰もが疲弊するという現象が多くの産業分野を覆っている。そうした企業行動の結果、物余りの時代と言われて久しい中、殺伐とした社会風潮の影響も加わって、我々の生活になかなか真の豊かさが感じられない。
このコースでは、そうした現状認識から出発して、現代社会の在り方に大きな影響力をもつ企業経営者や上級管理者が、いま一度自社の事業活動が担う社会的な使命(ミッション)を自覚し、その上に経営戦略を構築していく道を考える。
12月3日(水) ミッション経営のすすめ 担当[小野桂之介]
この講義では、企業活動が担う基本的な使命(ミッション)の内容、考慮すべき主要ステークホルダーの優先順位、および、そうした経営理念を現実の経営戦略とどのように調和させるかといった一連の主題について、講師の素案をもとに考えていく。

12月10日(水)株式会社 秋川牧園 担当[小野桂之介]
このケースでは、消費者に安全・健康な食品を提供し、併せて日本の農業の再活性化に貢献するという使命感をもとに、独特なビジネスモデルで成果を上げてきた実例について議論する。これまでの成功を支えてきた要因を体系的に分析し、今後の持続的な発展に向けた経営戦略の在り方について考える。

1月14日(水)朝日ソーラー 担当[根来龍之]
このケースでは、太陽熱温水機の訪問販売企業として急成長してきた朝日ソーラーが消費者からの相次ぐ苦情によるイメージダウンによってその地位を一気に失った事例について議論する。失敗の真の原因について分析し、企業が守るべき倫理規定について考える。

1月21日(水)えげつない経営のビジネスモデル 担当[根来龍之]
この講義では、自社と、顧客、取引業者、地域社会、業界他社との価値観(正当性あるいは倫理観に関する感覚)のギャップのマネジメントについて考える。企業は、多かれ少なかれ、この種のギャップを持つ。どの程度のギャップまで許容されるかの基準を持つことが重要だというのが講師の主張である。