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2005年11月12日

(1)レクチャー「学びの共同体を築く」

10:30 導入
本日のテーマは「学びの共同体を築く」です
○学びの共同体とはどんな状態でしょう
○学びの共同体でない状態とは

○認識科学と設計科学
・認識科学=どうなっているのかを問う→理解を得るため
・設計科学=どうすればいいかを問う→作るため

<板書(クリックすると拡大します)>

○学びの共同体を築く為に必要な要素
a.コントラクト
b.初期設定
c.その後の操作
d.テーマ・教材の流列

a.コントラクト
・フォーマルなコントラクト → シラバスなど
・インフォーマルなコントラクト
b.初期設定
・クラスの目的・方向性、雰囲気、緩やかなルール
c.その後の操作
・一度初期設定をして動き出すとそれを制御するのは難しい
d.テーマ・教材の流列


<板書(クリックすると拡大します)>

質問
○学びの共同体が仲良しクラブになりはしないか
→適度な緊張感は必要、
 礼節・寛容で安心して発言が出来ることで担保

○成績・順位付けはなじまないのでは?
→シラバスに明記しておく、何でどうやって評価するか
 (参加するか決定する以前に情報として提供する必要がある)
 一般的には講師の方が専門性が高いので、専門的視点での主観的な評価
 自分よりも研鑽度の高い人が参加している時はそれ以外の評価基準で
 (出席とか提出物とか)

=高木先生からのコメント=
この場は教育目的なので「学びの共同体を形成する」というタイトルですが、社会において生産的な作業を行う上でも同様の共同体を形成することが必要で、教育以外の場面でも適用できる

投稿者 motmaster : 10:41 | コメント (0) | トラックバック

(2)デモケースディスカッションその1

ケース名:「あの人が話し出すと授業が止まる」
ケースリード:佐藤智茂さん(岐阜県立国際園芸アカデミー)
討議時間:50分
事前設問:
【設問1】北大路講師の授業に臨む香田氏の姿勢・態度について、
香田氏がこのように振る舞う理由は何であるとあなたは考えますか。
【設問2】北大路講師は、ケースメソッド授業におけるクラスを"学びの共同体"
へと導くディスカッションリーダーとして、どのような具体的責務を
果たすべきなのでしょうか。
051112-03.jpg

進行:
11:45 北大路講師の授業で香田氏がこのように振る舞う理由は?
12:12 北大路講師は、ディスカッションリーダーとして、どのような具体的責務を果たすべきでしょうか


<討議の板書(クリックすると拡大します)>

投稿者 motmaster : 11:46 | コメント (0)

(3)デモケースディスカッションその1の振り返り

佐藤さんの感想:
自分なりに授業のイメージをして来たが、始まると頭の中が真っ白になった。
思考のスピード以上に議論が進展して黒板に書くので精一杯であった。
ディスカッションリーダーも一緒に学んでいるということを実感した。
(竹内さんより)
聞いて→理解し→板書し→リードする
これは最初は戸惑うが慣れてくる

コメント:
○論点の取り方、議論のしやすさ
・真剣さが伝わってきた
・曖昧な発言を明確にしてくれた
・発言者の意見を十分に聞いてくれた
・終わりに振り返りの時間を5分くらい取るべきか
 →まだ着地感のない討議ですが、着陸をするという意識を持つ
・結論を導き出す内容ではないので、討議して深まったので良かった
・生理的に受け付けなくなった時にどうすればいいか 
・議論が白熱してきたら、黒板に書かなくても発言者の意見を良く聞いてリードに専念した方がよかった?
・議論の盛り上がり、山谷を感じられた授業
 →ケースリーダーがどの位シフトアップ出来るか、タイミング
・シフトアップしたいけれど参加者が乗ってこなかったとき
 →自分でそこに持っていきたいときは「もう少しこの内容で議論しませんか」と明示する
・グループ討議がなされているときに設問1はグループのまとめを発表することからはじめても良いのか
 →そういうやりかたもあります
・考えていて沈黙しているのか、つまらなくて沈黙しているのかの見極めは?
 →リーダーの感受性

○板書の意味
・参加者の意見を受け容れたことの意思表示
・この内容を先に進めましょうという意思表示 
これらが認められるならば書かなくて良いときもある
そのときには参加者に明言すると良い
・議論の中で問題の構造化、問題の重要度など構造を保持した方が良い場合、議論を可視化することができる
・板書係を別に置くことについて
まとめる力要約力等がスキルとして必要であるが係を置くことも可
但し、講師が受講生の成績をつける関係にあるとき、板書係を受講生にさせるときにはその関係が逸脱するリスクを持つことを考慮すべき

=高木先生より=
クラスが成熟してきているので、ケースリードが未熟でもこの場では出来ているが初心者を集めての本番のケースリードは厳しいということも心の片隅に留めておいて欲しい

投稿者 motmaster : 12:24 | コメント (0)

(4)デモケースディスカッションその2

ケース名:「ベンチャー電子」
ケースリード:高木晴夫教授
討議時間:80分
事前設問:
【設問1】加藤氏はどのような問題に直面しているか。
【設問2】中村社長の経営のやり方をあなたはどのように考えるか。
【設問3】加藤氏は今後どのようにすべきか。
051112-05.jpg

進行:
15:05 加藤氏はどのような問題に直面していますか
15:20 表出された問題の整理
15:20 加藤氏はどういう状況ですか、金銭面
15:20 なぜ加藤氏は継続するのか
15:35 社長の経営のやり方をどう考えるか
15:48 自分の会社とおもっていても良い経営をする社長もいるが
15:57 加藤さんはどう意思決定をすべきかアドバイスを
      色々な選択肢を出して吟味しましょう
16:12 彼のキャリアを元に考えてみるとどの選択肢をアドバイスすべきか
16:17 あと二人の発言聞いてまとめ
16:19 出てきた選択肢の中から自分だったらどれを選びますか
16:23 後日談
16:27 終了


<ディスカッション時の板書(クリックすると拡大します)>

投稿者 motmaster : 15:02 | コメント (0)

(5)デモケースディスカッションその2の振り返り

講師の授業設計・意図
教育目的
設問1.
・組織に加わって活動するとき、その内部に入らないとその情報は入手できず、さらに少しずつしか表出されない
・事前の目標は事後にしか修正できない
設問2
・経営者の経営動機
・経営者の経営規範は経営者の価値観や性格に依存する部分が多く、多様
設問3
・キャリア意思決定を様々に模擬する

時間配分
大体3等分くらいを予定

今年は想定の範囲内
昨年のケースでは自分の問題として捉えて議論した

○設問1の意図は
限定的ではない設問で広く問題点を抽出させたかった

○挙手をしない人に発言させるべきかどうか
原則論はなく、色々な発言を重ね合わせることで学ぶ状況で、発言しない人タダ乗りは不公平だという価値観は持つべきで、何らかの手を打った方がよい、それをどう対処するかは様々

○板書の使い方
加藤さんの話と社長の話で分けるやりかたもあれば
キャリアの話と経営の話で分けるやりかたもある
ある程度想定はする

○最後に意思決定を全員に聞いた意図は
全員の意思決定の分布を知りたいだろう
将来の意思決定をする時に多くの人はどうするのかが参考になるかも

○人のケースを使うとき、最初のケースの時にどのくらい事前準備をするか
場面で異なる
設問2をどう進めるか、が頭の中にもたげている期間が3週間くらいあった
読んで内容の予習に3時間程度
クラスがどう動くかを考えるのが色々なときに
ケースの周辺情報を習得するのにはケースにもよる、戦略のケースなどは時間が多い
最初に使う前には事前に読んでもらって何でも良いので意見をもらう
→どんな議論が出てくるかを想定する

○黒板に書くのはフレーズ?キーワード?
キーワードでわかるものはキーワード、わからないものはフレーズを書く


投稿者 motmaster : 16:33 | コメント (0)

2005年11月26日

(1)レクチャー「非指示的に教える」

今日のテーマは「非指示的に教える」です。
○前4回の振り返り
第1回「ケースメソッドを理解する」
第2回「討議から学ぶことの価値を考える」
第3回「参加者を理解する」
第4回「学びの共同体を築く」

○リーディング教材の感想

○非指示的に教えるということをケースメソッドの学びについて説明
ケースメソッドで学ぶ側
自己モデルが揺らぐ場
大人の学習とは「自己モデルの更新」である
それに必要な3要素は、
・現実物を扱う      
・主体性を持つ場を持つ  =ディスカッションの場
・発話する         
ケースメソッドで教える側
自己モデルを揺らがせる場
それに必要な要素
・プロセスを設計する
・プロセスをリードする
  →だまって見届ける
  →きっかけを作る
  →背中をそっと押す etc

○CF.教えようとすると学ばなくなる
→教えようとすると相手はモデルを変えようとするスイッチを切って吸収モードに入ってしまう

○高木先生より
「経営力」を身につけるためには時間の経過に伴って変化する必要がある
その経過を把握することがモデルの変化
例えば芸能の世界では実技でしか伝授できない部分があり、経営も同様な部分がある
経営力を学ぶにも経験・実技・時間の経過が不可欠である。
実践力を養う教育を教室内で行う
頭の中イメージ・シミュレーション
筋肉を使う、体の移動、相手とのやりとり、
概念把握、その入れ替え、これらを教室の中で行う
現実感を伴ったモデルの転換を行っている


<板書(クリックすると拡大します)>

投稿者 motmaster : 10:33 | コメント (0)

(2)ケース討議「この授業は難しすぎます」

ケース名: 「この授業は難しすぎます」
ケースリード: 鈴木直志さん(中小企業基盤整備機構)
討議時間: 50分
設問時間:
【設問1】 神田川教授と学生の間に授業について、どのようなズレ(考え方・イメージの違い)が生じているでしょうか。

【設問2】 あなたが神田川教授ならば、来年のクラスをどのように運営しますか。
     (具体的にやり方をどのように変更しますか?)

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進行:
11:45 神田川教授と学生の間に授業について、どのようなズレが生じているでしょうか。
12:10 なぜこのようなずれが生じているのでしょうか。
12:23 あなたが神田川教授ならば来年のクラスをどうしますか。


<討議の板書(クリックすると拡大します)>

投稿者 motmaster : 11:51 | コメント (0)

(3)ケース討議「この授業は難しすぎます」の振り返り

鈴木さんの感想:
想定していた意見が出なかったので苦しかった。特に「ズレ」の部分で自分が想定していない意見が出た。
はじめにあまり手が挙がらなかったので焦ってしまった。
(竹内さんより)
発言の出づらい討議をリードするのは大変であるが、それ

コメント:
・発言が出なかった理由として設問1が難しかったのではないか。
「ズレ」の基軸が色々ある。
・慣れてくると自分の発言をどのタイミングで行うかということを考えるので最初は発言しづらい。
・それぞれの役割を考えながら「学びの共同体」を構築しようとしていた結果かも。
・黒板で対比をもっと明示させれば整理しやすかった。
 →討議の構造化
 =黒板の構造化
対立軸を作ったり、登場人物の立場ごとの考え意見
参加者と合意の上でのフレームワーク作り
最初に出てきた構造をそのまま使うか、それとも自分の構造に取り込むか
・頭の中で構造を持っておき、まず意見を出してもらいながら想定した場所に書いてあとからタイトルを書く
・いくつかフレームを持っておくことが良い
・「皆さんはこういう討議をなさりたいのですね」と問いかけながら参加者と合意を取りながら進めていくことも有効

投稿者 motmaster : 12:41 | コメント (0)

(3)ケース討議「本田宗一郎とその息子たち」

ケース名: 「本田宗一郎とその息子たち」
ケースリード: 八木さん(KBS博士課程)
討議時間: 50分
設問:
1) 本田宗一郎の組織マネジメントスタイルと、久米是志ら若手リーダー達がとった組織マネジメントスタイルの特徴を比較し、それぞれの長所と短所を考察しなさい。
2) ホンダのような開発組織の人材が、高いパフォーマンスをあげる上で不可欠な要件とは何であったかを考察しなさい。
3) 設問2)の答えに対して本田や久米らの組織マネジメントスタイルがそれぞれどのように影響を及ぼすことが出来たかを考察しなさい。
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進行:
14:45 本田宗一郎と、久米若手リーダー達がとった組織マネジメントスタイルの特徴をして下さい。
15:07 皆さんだったらどちらの会社に入りたいと思いますか。
15:17 ホンダが高いパフォーマンスを上げた要因は。
15:28 開発組織の人材が高いパフォーマンスを上げる環境、要因は。
15:37 設問1,2をまとめながら設問3に移る


<討議の板書(クリックすると拡大します)>

投稿者 motmaster : 15:00 | コメント (0)

(5)ケース討議「本田宗一郎とその息子たち」の振り返り

八木さんのコメント:
・どのような進め方をしたか
2種類のマネジメントシステムがあるということ、開発人材が高いパフォーマンスを上げるために必要な条件は。
・進め方の自己評価
学んだ感が深まるように進めたかった。前半の方が入りやすく、後半は今ひとつだったのではないか。

皆さんの感想:
何を学んだかを考えながらコメントして下さい。
・本田と久米の対比をさせることの意味
 →共通性の方が多いので議論しづらかった
 →うまく世代交代ができたから上手くいったと考えていたので対比させることに違和感があった
・参加者がやりたい議論とリーダーが進めたい議論が違っていたのでは。
・実務的な議論をしたい人とリーダーシップをきちんと議論したい人に分かれてきたようだが。
・リーダーが違和感が出てくるような意見が出たときにどう対応するか

本田さん、久米さんという固有名詞でできるような議論ができればと考えていた
一般論的に議論すると範囲が広がるので、開発型組織に絞った

・リーダーに答えがあるような気がした

単に発言が出続けているのか、目的に近づきつつあるかの見極めが必要

投稿者 motmaster : 15:49 | コメント (0)

(6)ビデオ&スタディ「挙手と発言を適切に扱う」

ビデオ教材:
賛成反対の意見を明確に述べてもらう場面と意思表示なしで言える場面両方あり得る、予め明示する
物理的に移動させることもある
参加者に高いハードルの発言を求めるときにはリーダーもその内容の研鑽が必要
高いハードルの発言を求めるときにどう扱うのが良いか
→間違えた時には指摘をするが、再度挙手してきたときには必ず指名する
→間違えた発言をその通りに黒板に書いて、後から参加者の指摘を待つ

投稿者 motmaster : 16:25 | コメント (0)